至る所で 心を集めよ 立っていよ

7時にアラームが鳴る。それを10分くらい聞いてやっと起きる。歯を磨きながらフライパンを温め、いくつもの卵を割る。パンをトースターへ。洗面所でべーして綺麗な歯をいーする。その歯で卵やパンを砕く。コーヒーを沸かして煙草を吸う。時計の針を眺めながら午前8時までキッチンに居座る。自転車に乗ってドラッグストアへ。ゲートを開けて上司を待つ。他愛もない朝の挨拶「おはよう」。貼り付けて意味もなくした「お疲れ様」。魔法の言葉「いらっしゃいませ」。同僚の与太を聞きながら品出しをして、接客をしながらまた品出しをする。隠れてビスケットを食べつつ、それを14時まで。自転車に乗って家に帰ると、家には人がいたりいなかったり。いるとうるさい。いないとかなしい。お湯を沸かす。用途不明のお湯。飲んだり、眺めたり、触ったり。女の子から電話が来る。ご飯の話や体調の話、時々えっちな話。回線が切れると本を読んで、夕飯のことを考える。17時ごろ、散歩に出掛けて好きな場所に行く。好きな場所は居ると気持ちが良いので、好きな場所に行くことは良いことだ。夕飯は不定時に作って食べるが、お風呂は23時までに入る。お風呂から上がると歯をゴシゴシと磨いて、べーしていーする。部屋の真ん中に椅子を置いて、眠くなるまで本を読む。意識を失った俺は植物に話しかけたり、「先生に会いに行く」と言って外套を羽織ったりして、しばしば家の人を困らせる。家の人は俺をベッドまで導いて電気を消してくれる。そんな時、ポストにお酒が投函されたような気がして笑ってしまう。朝の7時にアラームが鳴るというのに、つまらない朝が嫌で仕方無いというのに、それが可笑しくて。