ツーリングIKEAの魅力

 バイクで行くIKEA。これが最高なのです。

 IKEAというお店は皆さんもご存知かと思います。昨今の新都心開発では、必ずと言ってよいほど議題に挙がるのがこの店名。思考停止したシティコンサルが「街独自の発展が欲しい。まずこの更地にコストコIKEAを置いて...」とシムシティ感覚で会議を行う様子が、盗聴器なしでも窺えます。
 IKEAは主に北欧家具を中心に扱う世界最大の家具量販店です。注目すべき点は、何と言っても併設されたたフードコートにあります。物価がイカれているのです。ホットドックが80円。ドリンクバーが100円。意識の高そうなサーモンサラダが数百円(興味が無いので覚えてない)。
 自分は家具には全く興味がないので、IKEAには入ったことすらありませんでした。隣接するコストコで食材をカートいっぱいに買い込み、これまた物価の壊れたフードコートでチルするのが好きでした。そんな自分がなぜ今更「IKEA最高」と咆哮しているのか。その理由を語りたい。

 きっかけはIKEAのトレードマークでもある青いシャカシャカバッグの購入依頼でした。母親に「逆におしゃれだから買ってきて欲しい」と頼まれました。ニート性分の自分に拒否権などありません。「たまにはツーリングもいいか」と心をハックし、愛車のスーパーカブ(蕎麦屋バイク)をキックして20km離れたIKEAを目指します。
 時は連休の最盛期。あのIKEAが繁盛していない訳がありません。「駐輪場探すのやだなー」と思いつつ、パーキングエリアへ。ここで1つめの驚きが。駐輪場がガラ空きなのです。それもそのはず、IKEAに足を運ぶ方々の目的は、家具を買うとこなのです。バイクで来る人なんてごく僅かなのでしょう(ちなみに、コストコの駐輪場は鬼小さい)。渋滞する車を尻目に意気揚々とエントランスへ向かいます。
 ここでとある不安にかられます。「会員カード持ってないぞ!」。コストコなどでは年会費5000円の会員カードを所持して入場し、激安フードの恩恵にありつけます。きっとIKEAにもそういったシステムがあるはずだと考えました。鼻の頭に汗を滲ませながらカウンターの方に尋ねると「そんなものはない」と、三国志関羽ばりに回答を頂きました。IKEAは会員制ではないのです。すごい!じゃあなんであんなフードコート安いの?これが2つ目の驚きポイント。
 さて、例によって世界化されたコンベア式のレジ横に、お目当の青いバッグがあります。それを100円で購入。さっそく関心どころのフードコートへ。話には聞いていましたが、IKEAのホットドッグはコストコのものと比べてとても小さいです。ドリンクバーと合わせてもコスパが悪い。具体的に計算してみよう。
コストコ:ホットドッグ、ドリンクバーのセットで180円
IKEA:ホットドッグ80円+ドリンクバー100円=180円
同じ値段でより大きなホットドッグを食べられるなら、普通はコストコに行きますよね(会員費の話は一旦置いといて)。でもドリンクバーの質が違ったらどうでしょうか?
 なんとIKEAのドリンクバーには、コーヒーメーカーがあるのです。しかもプレッソ式の抽出で、ラテが超うまい。炭酸系飲料もフルーツソーダ(ベリー)とか何かお洒落でうまい。一方でコストコのドリンクバーは、ペプシマウンテンデューなどのバカ飲料が蔓延しています。そしてコーヒーでシメようとすると、別途で100円を支払わなければならないのです。その点IKEAは、ちょっとホットドッグが小さいだけでドリンクバーは充実。会員費もなし。IKEAはフードコートの王だった。
 スタンドの席でソーダをごくり。ホットドックをプチプチ。コーヒーをお代わり。エントランスを出て喫煙所へ。安煙草とお代わりしたラテでチル。カップを持つ手が熱いのでバイクグローブをはめて耐熱。尿意。ところでこのIKEA、喫煙所とお手洗いと駐輪場が近接している。非の打ち所がどこにもない。
 用事を終えた自分は「IKEA最高、IKEA最高、IKEA最高」と思いながら、バイクをキックして家路につくのでした。(青いバッグは喫煙所の隅っこに置き忘れた)

※この記事は主に、さいたま新都心について書いてあります。